■素材・織り
・綿100％の厚手生地（290g/m²）
・着用と洗濯で柔らかく馴染む経年変化
■カラー・由来
・深い青「Bleu de Travail」
・フランス労働着に由来する象徴的な色
■デザイン・構造
・直線で構成された静かな輪郭
・道具収納に適したパッチポケット
・着る人の動きに寄り添う構造
■サイズ展開・フィット感
・M / L / XL / XXL（詳細はサイズ表参照）
・男女兼用のユニセックス設計
■着用シーズン・スタイル
・秋〜冬対応（インナー次第で春も可）
・アメカジ・ヴィンテージ風スタイルに自然に馴染む
■着用感
・初めはハリのあるしっかりとした着心地
・使い込むほど身体に沿う柔らかさに変化
■ 青の輪郭
【ツタエル】 フレンチワークジャケット
1954年、フランス北部・リールの工場地帯。朝焼けが煙突の先端をかすめ、鉄の匂いが空気に溶けていく。
ジャン＝リュックは、毎朝6時に工場の門をくぐる。彼は旋盤工。鉄を削り、形を与える職人だ。その日も、彼は深い青のジャケットを羽織っていた。袖口には油の跡、胸元には擦れた糸のほつれ。それは汚れではなく、彼の時間の痕跡だった。機械の音に耳を澄ませながら、彼はふと手を止める。窓の外に見えるのは、曇った空と、同じ青を着た仲間たち。「この青は、俺たちの誇りだ」そう思いながら、彼は再び旋盤に向かう。
ジャケット。それは、彼の手の動き、汗、季節の変化を記録する「道具」だった。そして、彼が見ていたのは、自分の仕事が誰かの暮らしを支えているという静かな確信だった。
■This is a garment that remembers.
どんな日に、このジャケットを着る？
このジャケットを選ぶのは、決まって「少し肌寒い朝」。シャツ一枚では心もとない。そんな微妙な温度の朝に、ちょうどいい。
家を出て、駐車場まで歩くほんの数分。海沿いの風が首元をかすめる。そのとき、ジャケットの襟を立てるだけで、「今日も始まるな」と思える。車に乗る前、ポケットに手を入れる。鍵の冷たさと、布の温もりがちょうどよくて、その感触が、なぜか心地よい。ネクタイを締めた日にも、違和感なく羽織れる。フレンチワークの構造が、どこか上品で、ローファーの艶ともよく馴染む。
「出勤前の数分間」を、静かに整えてくれる。それが、僕にとってのこのジャケットの役割だ。
■実用と歴史が融合するプロダクト
フレンチワークジャケットとは
1950年代のフランスでは、工場労働者や職人たちの作業着として、インディゴブルーのジャケットが広く普及していました。この色は「Bleu de Travail（ブルー・ド・トラヴァイユ）」と呼ばれ、労働の現場に根ざした実用的な色味として定着していました。耐久性のあるコットン素材と汚れが目立ちにくい色調が特徴で、長時間の作業に適した設計が施されていたことが背景にあります。
本製品は、その歴史的背景を踏まえて再構築されたジャケットです。素材にはコットン100%。ディテールは当時の構造をベースにしつつ、現代の生活に適したバランスに調整。ポケットは深さと配置に配慮し、スマートフォンや鍵などの収納に対応。襟の形状はシャツやネクタイとの相性も良く、フォーマルな装いにも違和感なく馴染みます。
肌寒い朝の出勤時や季節の変わり目など、軽い羽織りとしての汎用性と防風性を兼ね備え、ローファーやスラックスとの組み合わせでも品よくまとまります。
これは、使う人の手で完成していく道具。魅せるためではなく、働くために。
■デザイン
このジャケットは、フレンチワークウェア「Bleu De Travail」の美学を現代的に再構築した一着です。クラシックな折り襟や樹脂ボタン、非対称ポケットなど、ヴィンテージ感と遊び心が共存するフロントデザインに加え、背面はシャープな肩のラインと繊細なステッチで静かな品格を演出。ネイビーブルーの生地は控えめながらも、着る人の佇まいに芯のある印象を与えます。
■コーデ
ネイビーのワークジャケットは、白や生成りのインナーと合わせることで清潔感とコントラストが際立ちます。ボトムはチノパンやデニムでカジュアルに、ウールスラックスで品よくも。足元はレザーシューズで引き締めても、キャンバススニーカーで抜け感を出しても◎。季節に応じて、ニットやストールを添えると奥行きが生まれます。
■カラー：Bleu de Travail
Bleu de Travail（ブルー・ド・トラヴァイユ）は、19世紀末からフランスの工場労働者や職人が着用していた作業着に使われた伝統的な青色です。汚れが目立ちにくく、褪色によって個人の履歴が布に刻まれる特性を持ち、実用性と耐久性に優れています。現在では、フレンチワークウェアの象徴的な色として再評価され、機能性と簡素な美しさを兼ね備えた衣服の文化的背景として語られています。
■素材
290g/m²の重厚な純綿を使用。初めはしっかりとしたハリ感があり、着るほどに柔らかく馴染み、身体に沿った自然なシルエットへと変化します。フレンチワークウェアの精神を受け継ぎながら、日常に寄り添う快適さと風合いを兼ね備えた素材です。
■About Us｜ツタエルについて
ツタエルは、未完成の美学を纏った道具を届けるブランドである。使い手の記憶とともに育ち、擦れや傷を“歴史”として受け止めるプロダクトを志向する。
デニムの色落ち、鞄の角の擦れ——それらは劣化ではなく、使い手の時間が刻まれた痕跡である。
語りすぎず、ただ静かに寄り添う。使い手が主役となり、道具がその物語を支える存在となるように。素材、構造、手触り、余白——すべてに意味を込め、語らぬ美しさを宿す。
ツタエルは、使い手とともに歴史を紡ぐ道具を提供する。それは、完成ではなく、共に育つ余白のあるもの。そして、記憶をつなぐ体験そのものである。